二つの出口

二つの出口
ムンド校創設から10年ほどは、新しい学校として学校のステイタス、
教育のアウトプットを重きに、生徒たちの進路については、「進学」
に力をいれなければなりませんでした。そして、外国人学校としては
ハードルの高い二つの出口、「母国でも日本でも進学できる」環境を
整えることへの挑戦でした。

母国での進学については、本国のカリュキュラムに従っての学習を
していますから、教育内容については問題ありませんが、母国でも
大学進学となると経済的に大変です。一方、日本での進学は能力も
さることながら高い日本語力が必要となります。非漢字圏の南米の
子どもたちにとって容易いものではありません。さらには費用の問題
がかなり大きく影響します。

ですので、一人でも多くの生徒たちが希望すれば進学できる道筋を
つけることに総力をあげてやる必要がありました。

少しずつ進学実績が出てくると、生徒たち自身、そして保護者たちから
ムンド校の教育が認知され、高校生の在籍者が増加していきました。
高校生の在籍者が増加する、ということはそれだけ進路に結びつける
ことが大変になります。なぜなら、本人の能力、日本語力、家庭環境、
バックグラウンド、等々、影響を及ぼす要因が多岐にわたるからです。

高校課程の在籍者が増加したことで、「就職」についても本腰をいれて
やらなければならない状況になりました。出稼ぎで来日した保護者たち
のように派遣雇用での仕事であれば難しいことではありませんが、親世代
とは異なり、日本で自己実現をできる世代の子どもたちにとっては正社員
を目指すことが必要でした。

通常日本の高校では高校によって進学中心の学校、就職中心の学校と
分かれていますが、ムンド校の場合は両方をバランスとって行わなけれ
ばなりません。新たな二つの出口、「進学と就職」というそれぞれの道に
つなげる挑戦をスタートすることになったのです。

地元企業の皆さんに職業講話、職場体験、インターシップ等々、お世話に
なり、ご支援、ご協力をいただいています。