修学旅行
2021年10月28日
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ムンド校の子どもたちの保護者たちは日系の出稼ぎ労働者たちです。
雇用形態も収入も決して安定していません。リーマンショックの時も
震災の時もコロナでも経済的な影響を受けてしまいます。そして親の
状況は子どもを直撃します。
学校設立当時から、子どもたちが親の経済状況でドロップアウトする
ことのないように、いかに月謝をおさえて保護者たちの負担を減らし、
色々な方面からご支援いただき厳しい家庭から順番に月謝免除を
行っています。
子どもたち自身も高校生になると、自らの学費やおこづかいのため
にアルバイトを始めます。早朝と放課後のバイトを掛け持ちして専門
学校の入学金を貯めた子もいました。
このような状況の中ではなかなか余裕がありませんので、卒業を
ひかえた高校3年生たちの願いであった修学旅行を実現することが
難しかったのですが、数年前に毎月2千円の積立を保護者にお願い
しました。それだけでは不足なので、学校内で開催する行事、フェスタ
ジュニーニャ、夏祭り、文化祭で3年生たち自身がバザーをすることを
許可して旅行費用を皆で集めるようにしています。
レンタルバスを借りて、ブラジル人の知り合いの運転手さんにお願いし、
できるだけ旅行費用をおさえる方法で実現できています。毎年子どもたち
自身が行きたい場所、スケジュールを話し合って計画しています。
今年も明日から2日間の修学旅行に出かけます。高校3年生たちが職員室
にいる私のところに来て、「校長先生、明日から修学旅行に行ってきます。
行かせてくれてありがとうございます。」と。。。
この言葉、毎年旅行の前日に高校3年生たちが言いに来てくれます。
なんとも温かい気持ちになります。高価な贈り物を渡しているわけでも
なく、彼ら自身が皆で行けるように頑張っているのです。
言葉では言い表せない温かく、穏やかで、有難い気持ちになります。